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Q&A

不貞の慰謝料の支払義務は自己破産すれば免責されますか?

  • 文責:弁護士 上田佳孝
  • 最終更新日:2024年3月14日

1 免責とは

破産手続で免責決定が確定すると、原則として破産債権の支払義務を免れることになります。

しかし、一定の債権については、免責の効果が及ばない、つまり支払義務を免れることができない旨が破産法に規定されています(これを非免責債権といいます)。

例えば、税金には、この免責の効果が及ばず、支払義務を免れられないということについては、ご存知の方もいらっしゃるかと思います(破産法253条1項1号)。

ここでは、配偶者の一方が他の異性と不貞行為を行ったことにより、他方の配偶者に精神的損害を与えたときに発生する慰謝料請求権が破産債権となっている場合に、この債権の支払義務に免責の効果が及ぶかどうかについてご説明します。

2 破産法253条1項2号

破産法253条1項2号では、免責の効果が及ばない破産債権として、「破産者が悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償請求権」を規定しています。

ここでいう「悪意」とは、一般に、不法行為による損害賠償を規定する民法709条の「故意」(結果の発生を認識しながらそれを容認して行為するという心理状態)ではなく、積極的な害意を必要とすると考えられています。

なぜなら、破産法235条1項3号は、「破産者が故意又は重大な過失により加えた人の生命又は身体を害する不法行為に基づく損害賠償請求権(前号に掲げる請求権を除く。)」と規定していますが、仮に2号の悪意を故意と同じ意味に解釈すると、3号で「故意……により加えた人の生命又は身体を害する不法行為に基づく損害賠償請求権」をわざわざ規定した意味がなくなるためです。

3 不貞の慰謝料の支払義務は非免責債権となるか

破産法253条1項2号の「悪意」を積極的な害意と解釈する場合は、不貞行為の慰謝料の支払義務が非免責債権となるためには、他方の配偶者に精神的苦痛を与えることを目的として不倫を行ったことが必要になります。

しかし、通常の不貞行為は、不倫相手と恋愛関係になったとか、肉体的な欲求を満足させる目的があった等の理由で行われるものであり、不貞行為により他方配偶者が精神的苦痛を被るであろうことを認識していた(故意)としても、精神的苦痛を与える積極的な目的(害意)まで認められるかどうかは個別の判断が求められます。

そう考えると、不貞慰謝料の支払義務が非免責債権となるのは例外的なケースであると評価することも可能かもしれません。

自己破産や個人再生を検討している方で、負債に不貞行為の慰謝料がある場合は、弁護士に一度ご相談ください。

名古屋市近辺にお住まいの方は、名古屋駅近くの弁護士法人心にご相談ください。

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