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名古屋における自己破産の運用

  • 文責:弁護士 上田佳孝
  • 最終更新日:2024年7月5日

自己破産において、「費用がいくらかかるのか」と「財産をどれだけ残すことができるのか」という点は、多くの方が気にされるところかと思います。

この点については、実は地域によって異なる運用がされています。

この記事では、名古屋の場合の運用方法について見ていきましょう。

1 自己破産についての運用基準

名古屋市にお住まいの方が自己破産を申し立てる際には、名古屋地方裁判所に申し立てることになります。

参考リンク:名古屋地方裁判所・自己破産の申立てを考えている方へ

自己破産では、各地方裁判所が、地域ごとに異なる運用基準を持っています。

もっとも、裁判官には幅広い裁量が認められており、事案によって特徴が異なるため、必ず運用基準どおりになされるわけではありません。

しかしそれは、原則として各地方裁判所が持っている運用基準に従い、それから外れる事情がある場合は、特別に異なる取り扱いをすることがあるという程度です。

そのため、名古屋で自己破産をする場合は、まずは名古屋地方裁判所の運用に従うとどうなるかを検討することから始まります。

2 名古屋地方裁判所の運用基準

運用基準については、多くの地方裁判所が、自己破産する場合に裁判所に納める予納金額に関する基準と、自由財産拡張という自己破産しても残すことができる財産に関する基準の2つを持っています。

⑴ 予納金額

予納金額に関しては、名古屋地方裁判所は、個人で現在も過去にも事業をされていない方の場合、1万円強20万円強40万円強の3通りに大きく分けています。

ア 同時廃止事件

1万円強で済むのは、同時廃止事件という簡易な手続きで処理される場合です。

①現金・預貯金以外の財産のうち1つの財産の時価が20万円を超えるものがなく、②現金・預貯金の合計額が50万円未満にとどまっている場合に、原則として同時廃止事件として処理されます。

ただし、破産をする方の財産の調査が必要な場合や、免責不許可事由があるなど破産を認めるべきかを慎重に吟味する必要がある場合には、以下に記載するような管財事件として処理される場合もあります。

免責不許可事由とは、借金の返済義務の免除が認められない事情のことで、具体的には、債務が増えてきた主な原因が浪費であること、クレジットカードで買ったものをすぐに売ってお金に換えること、氏名や収入等を偽って借入をすること等が挙げられており、ギャンブルや高価品の購入で多額の債務ができた方は、同時廃止が認められない場合もあります。

イ 少額予納管財事件

20万円強になるのは、管財事件の中も予納金が少ない事件(少額予納管財事件(S管)と呼ばれます。)です。

①弁護士が代理人となって自己破産の申し立てがされていること、②お金に換えることができる財産が存在しないか、資産総額が60万円未満である、又は資産総額が60万円以上であってもお金に換えることが容易なものしか存在しないこと、③弁護士に依頼した後に一部の債権者にのみ返済している等で管財人が財産を取り返してくる(「否認」といいます。)必要が生じていないこと等が要件となっています。

浪費が主な原因で自己破産をするが、ほとんど財産がないという方等は、この少額予納管財事件で処理されることが多いです。

ウ 通常管財事件

40万円強の管財事件になるのは、上記の要件を満たさない場合です。

たとえば、不動産を持っていて債務が増えた経緯がギャンブル等の浪費である場合等が、これにあたります。

⑵ 自由財産拡張(自己破産しても残すことのできる財産)

自由財産拡張に関しては、名古屋では、預貯金、居住用家屋の敷金、退職金等残しやすい財産の種類が決まっていて、残しやすい種類の財産で時価が20万円を超えないものは原則として自由財産として残すことが可能です。

時価20万円を超える預貯金や退職金も残る場合も珍しくありませんが、株式や互助会等の残しにくい種類の財産は、自己破産して残すことができることは稀です。

ただし、どの財産が残るかは、生活にどの程度必要かや、債務が増えた経緯等にもよりますので、詳細は弁護士におたずねください。

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